熱は、高いところから低いところへ移動しようとします。
つまり、夏季は「熱い熱」の侵入を止めるのが目的となります。
住宅の熱対策は、周囲の場所によって、またまた4つに分類されます。
光と共に入ってくる熱を、いかに食い止めるかが課題です。
対応策は遮熱が中心です。
・軒・庇等の設置や、プランの検討により、窓面に直接光を当てない工夫
・ガラスの高性能化
・カーテン、ブラインド、ロールスクリーン等、室内での断熱
・よしず、すだれ、外付けブラインド等、外部での遮熱
また、ガラスは、住宅の部位として、もっとも断熱・遮熱性能の弱い箇所でもあります。
窓のサイズと配置は、快適な家造りのキーなのです。
熱対策は、断熱と遮熱の組み合わせが基本ですが、遮熱がメインの窓と違って、
外壁の場合、主は、断熱となります。
なぜならば、ガラスのように光を通さないので、遮熱の必要度が低いのです。
断熱の手法は、星の数ほどありますが、断熱材の性能と使用する厚みで数値が出せるため、
性能は簡単に計算できます。
屋根における熱対策は、位置付けとすれば、窓と壁の中間という所でしょうか。
ガラスのように光を通さない、という所は外壁と同じですが、
屋根は日射を受ける時間が非常に長いです。
つまり外壁より、直射日光による放射熱の影響を受けやすい場所なのです。
手法としては、何らかの形で遮熱をした上で、断熱を組み合わせるという事になります。
遮熱の方法は、下記の2つがあり、併用することが望まれます。
・屋根材と断熱材の間で、空気層を設ける。
・空気層内部に、遮熱材を設ける。
断熱の手法に関しては、壁と同じ考え方でOKです。
基礎を構成する鉄筋コンクリートは、熱容量が大きい。という特徴があります。
簡単に言うと、「熱しにくく、冷めにくい」物質です。
真夏、日が暮れた後でも、道路や建物の温度がなかなか下がらない事はご存じですか。
原因は、コンクリートやアスファルトの熱容量が大きく、なかなか放熱が進まないためです。
起きる現象は住宅の基礎も同じですので、この特性を考慮した熱対策が望まれます。
つまり、快適な温度側で蓄熱させるように、外側で断熱するべきです。
地中からも熱が伝わって来るので、地中の深いところまで、断熱材が入れば、いっそう効果的です。
明るくて、真冬でも快適に暮らせる家。
この、当たり前の要望を叶えるのは、とっても気を使います。真冬に快適。これだけであれば、実は結構簡単なのです。
服に例えれば、コートの下にどれだけ着込むかという話です。
断熱材をたっぷり使えば、その分だけ温かい!
でも、それだけだと、真冬以外の季節に困ったことが起こる時があります。
それが、「明るくて」という箇所に潜んでいます。
大きな窓から、光を取り込んで・・・というのは良いのですが、光は一緒に熱も運んで来ます。
ガラスの性能をあげれば、幾分緩和はされますが、光が入っている以上、熱も大量に入ってくるのです。
「真冬でも快適な家」というのは、簡単に言うと、「熱が逃げづらい家」です。
家も人と同様に、季節によって、服を脱ぐように断熱性能を落とすことが出来れば良いかも知れませんが、
そんな事は出来ません。
結果として、冬を快適にした為、それ以外の季節における、エアコン稼働時間が増えてしまう。
という事例すらあります。
なぜかと言えば、暑いからと言って、照明やテレビ等の電化製品の使用を止める訳には行きませんし、
料理をしても、お風呂に入っても、熱は発生します。
何より、人自体が、熱を発生しているのです。
一説によると、人ひとりあたり、白熱電球(100W)1個分の熱を発生してます。
そんな熱が発生し続けている家の中に、さらなる熱を運んでくるのが、
日当たりの良い、大きな窓なのです。
もちろん、窓を小さくしよう。とか、真冬の快適性を諦めよう。
というような後ろ向きの話ではありません。
明るさと、夏・冬の快適性とを両立できる方法は無いのか?
「かしこい家」のテーマの一つでもあるのですが、その回答の一つが、外付けのブラインドです。
詳しくは、下記のリンク先を見て欲しいのですが、
日射エネルギーの80%以上を、遮ることができる手段は、なかなか他にありません。
窓の方角、サイズ、庇の長さなど、設計の段階で考慮できることも多いので、
外付けブラインドが全てではありませんが、これからの必需品になる予感がします。