2009年10月にドイツのフライブルクという街を見学しました。
そこでパッシブハウスとそれを取り巻く環境に出会ったことは、
私の家造りにとってターニングポイントになったと言って良いでしょう。
ドイツの自然環境に合わせて、建物を快適にしていこう、という意志を強く感じました。
また、快適性の追求を特別なことではなく「当たり前」の行為として捉えている様がとても新鮮でした。
さて、そんなパッシブハウスの中身を少しご紹介したいと思います。
パッシブハウスとは、1991年にドイツパッシブハウス研究所によって確立された、省エネ住宅の規格を指します。
高性能な断熱性能を持ち、熱交換器による空調設備(アクティブな冷暖房器具が不要)だけであるという
意味合いから「パッシブ(passive:受身の)」の名が付けられたようです。
具体的な基準は多岐にわたるのですが、三大基準というものがあります。
※1と2は、1㎡の負荷の年間合計です。
ドイツでは南の都市ミュンヘンですら、札幌より北に位置しています。
つまり、気候風土が日本とは大分異なります。8月の平均最高気温を見ても、25℃を超える都市はありません。
つまり、ドイツにおける省エネとは、暖房エネルギーの削減を意味します。
現在はドイツ以外の国でも「パッシブハウス」基準の建物が建ち始めており、
暖房負荷に関する数値も発表されているかも知れません。
内容が判明次第、本ページのデーターを変更いたします。
住宅が使用するエネルギーの内訳は、冷暖房、給湯、換気、照明、家電です。
このエネルギーを、一次エネルギーという単位で規定しています。
一次エネルギーとは、普段私達が使用している電気、ガス等の二次エネルギーを
造る為の材料です。
一次エネルギーから二次エネルギーの変換効率は、種類によって変わります。
例えば、温水式床暖房の場合。温水を作り出す燃料(二次エネルギー)を、
「ガス」でするか「電気」でするかという選択があったとします。
それぞれの二次エネルギー効率と共に、そのエネルギーを造る為の
「一次エネルギー」の効率まで含めようという訳です。
電気の場合であれば「石油→精製→発電→送電」、ガスであれば「天然ガス→精
製→送ガス」という過程があり、それぞれにエネルギーの効率が設定されています。
建物としての省エネだけでは無く、社会としての省エネを提案しているのは、すばらしいことだと思います。
ただし、「エネルギー政策」という国レベルの差違や、先ほど出てきた気候風土
の違いがありますので、そのまま「香川」に導入出来るか、という点は、検証する必要があると思います。
日本で通常使用している単位(気密性能)に置き換えると、C値=0.2c㎡/㎡以下となります。
日本の気密を表す単位は、隙間相当面積(C値)と言って、c㎡/㎡という単位です。
ドイツ基準は、50Pa加圧時の漏気回数です。
日本で高気密住宅の基準は、2c㎡/㎡以下ですから、ものすごい性能差があります。
ただし、一般的に高気密を謳う住宅会社は、1を割る数値、0.7前後を確保していることが多いようです。
「自然界に存在するままの形」でエネルギー源として利用されているエネルギー。
具体的には、次の3つのグループに分かれます。
◇化石エネルギー群
石油、石炭、天然ガスなど
◇原子力エネルギー群
核燃料(ウラン)
◇再生可能エネルギー群
太陽、風力、地熱、
バイオマス、水力など
生物由来の資源で、化石資源を除いたもの。
具体的には、木材(薪、ウッドチップ、ペレット)、飼料作物(トウモロコシ、サトウキビなど)が
分かりやすいところです。最近は、廃棄物や残材を回収して再利用するという観点から、
紙、家畜糞尿、食品廃材、建築廃材、生ゴミ、稲わらなども該当します。
電気・ガソリン・ガスなど、一次エネルギーを変換や加工して得られるエネルギーのことを指します。
三大基準の中で、暖房負荷は二次エネルギーと書いていて、住宅全体が使用するエネルギーは
一次エネルギーと、物差しが変わるため、少し分かりづらくなっています。